第38回 すさみ町 井上様「太陽光発電所」

今回のレポートは「田舎暮らし」ではなく、なんと「太陽光発電所」をすさみ町に作られた井上様を訪ねました。すさみ町は白浜町の南隣、「ケンケンかつお」やイセエビなど海の幸や、「イノブタ」で有名な町です。カツオやイセエビをPRしているため海沿いの町と思われますが、山間にも集落が点在しています。しかし山間部には平野部が少なく、人口も減りつつあります。

井上様は、そんな山間部にぽっかり空いた小さな集落に適地を見つけ、個人レベルでは非常に珍しい太陽光発電所を作られました。

■太陽光発電所を個人レベルで

「太陽光発電所」というと大企業が作るメガソーラーを連想しますが、小規模ながら個人事業所レベルで作ってしまいました。

井上様は大阪で電気工事会社を経営されており、太陽光発電の施工も行っています。

そのため、クリーンエネルギーである太陽光発電が環境にも優しく、次世代のエネルギーであることは熟知していました。

発電所全景

■縁があった土地

数年前、別件で近くに来た時に道を間違えてこの地を通りかかったとき、「山あいなのに日当たりのいいところだなあ。ここなら太陽光発電に向いているのでは?」と思いました。

そんな中、産業用太陽光発電の買い取り制度が決まり、井上様は太陽光発電所を作ろうと場所を探し始めました。
太陽光発電所を作るには、いくつかの条件があります。

・日当たりが良いこと(当たり前ですが)。
・海から離れ、塩害などの心配がないこと。
・ある程度の広さが必要なので、値段も高くないこと。
・農地では転用の手続きが必要なので、田畑でないこと。
・太陽光パネルを設置するので、地面が固いこと。

広くて田畑でなくて安価な土地はなかなかありません。

当社のホームページを見て頂いた井上様、以前に見た現在の土地じゃないか?という物件を見つけました。さっそく電話して確認したところ、どうも前に「いいな」と思った所。

海から離れており、山間には珍しく日当たりも良く、以前は養鶏場だったため広い土地に平坦ではありませんがコンクリートを打っています。

思い描いていた条件にぴったりで、以前にたまたま見たことも何かの縁と購入することになりました。
発電所の前で。

■難関を乗り越え発電所完成

さて、土地は見つかったのですが、ここからが大変。工事自体は普段の仕事でもあるので、できる目処はあります。

しかし、いろいろな届け出が難しい。大企業の作るメガソーラーと違い、前例はありません。和歌山県内でも初めての試みだったため、非常に苦労したそうです。

苦労を乗り越えて完成した太陽光発電所は、552枚のパネルを並べた82.8kWhの発電所。個人事業所レベルでは非常に珍しく、見学に来る人も後をたたないそうです。
太陽光発電パネルの裏側

■地域を少しでも元気にしたい

そして井上様には夢もあります。

この地に決めたのも何かの縁、と、大阪に住んでいる井上様は来るたびに近所の方に挨拶に立ち寄るそうです。
しかしこの地は過疎化が進み、高齢化が進んでいます。隣にある立派な石垣を積んだ家も廃屋になっています。

自分自身も将来は会社を息子さんに任せてこちらでも住めるようにしたいそうですが、この地に縁があったこともあり、「出て行った人が戻ってこられるところにしたい、せめて年に1回でも」と、発電所のまわりに桜を植え、春にはお花見ができるようにしようと計画しています。

また、空いた土地で何か生活の糧になるものができないかと研究中だそうです。

立派な石垣がありますが、すでに廃屋。

今は南紀田辺ICから山間の道を1時間以上かかりますが、2015年頃には高速道路がすさみまで延伸され、すさみICからは20分程度で来ることができるようになります。

「便利になるので、Uターンする人や、Iターンする人が住めるところにしたい」という夢を、太陽光発電所を縁に考えています。

和歌山で暮らそう。

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